青少年健全育成条例 条文追加の必要性について

今までの条文でも取り締まれる、条文の改正は必要ないじゃないかってな意見があったりするわけですが、これは必要だとはっきり言えるわけです。


東京都で不健全図書に指定された「誰にも言えないマル秘 調教H 」です。
2ch でもネタにされて、ご覧の通りの反応です。
東京都が、これを不健全図書に指定しようとした際に、業界自主規制団体への聞き取りを行った結果を見てください。


http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/09_575_menu.html#578


資料4 自主規制構成団体からの意見聴取結果を参照してください。


規制やむなし 3
保留 1
指定非該当 8


・619 円。性交場面が多く、男性器も白抜きでそのまま描かれている。擬音もいやらしい。学園がSEXの場というマンガも。指定やむなし。
・絵の表現は特に露骨とは思えないが、やはりストーリーの内容が未成年には問題がある。要成人マーク。指定やむなし。
・消しは入っているが、アブノーマルなセックスの連続。指定やむなし。


・判断に迷う。ボカシも入っているし、それ程刺激的とは言えない。スレスレか? 保留。


・変態プレイもあるが全体的に大人しい描写で当該出版社の反省が見られる。指定非該当。
・下半身のセックス場面が少しリアル。ストーリー性がある。指定非該当。
・絵はほとんど真っ白で細かい描写は無い。この程度はOK。指定非該当。
・青少年が手に取りやすい表紙ではあるが、中身は卑わい感が無く、修整されているので特に問題無し。指定非該当。
・男性器に修整が無いと同じ。擬音、体液も多い。学園物でセーラー服等問題はあるが、1作品目以外は全体に大人しい。指定非該当。
・局部は修整し、描写していないので問題無し。指定非該当。
・絵も可愛らしく描かれており、少女向けの本と思われる。この程度なら良いかと思う。指定非該当。
・消しがしっかりしており、タイトルの割に大人しい。指定非該当。
・指定するまでの内容に至っていない。指定非該当。


さて、これを見て、業界の基準というのは、かなり普通の人の感覚とは違うと思うのですがいかがでしょうか?


もう1つ例を示します。同じく東京都により不健全図書に指定されたものです。


http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/09_587_menu.html#597


ピンク・ペッパー〜陸乃家鴨短編集〜 平成21年12月12日発行に対する自主規制団体からの意見聴取結果を確認してください。


・修整されているものの、全編にわたり性描写がある。指定やむなし。
・擬音、SEXシーンが多い。男性器はぼかしているのか、立体的に強調しているのか分からない。指定やむなし。
・全編、女の子は幼児又は少女のように描かれており、問題あり。成人マークを付けてほしい。指定やむなし。
・コミカルなタッチで卑猥さは感じないが、後半は性描写の連続で、指定やむなし。
・未成年同士の全編SEXシーンで、男性器、挿入部分の描写が激しい。体液も多く、指定やむなし。


・ストーリー性があり、コミカルなタッチで描かれているが、性描写が多い。判断に迷うため、保留


・学園物で学生が出てくるところがひっかかるが、卑猥性が少なく、指定非該当
・性交シーンが多く、擬音の使用も気になるところだが、卑猥感がほとんどない。消しも一応修整されている。この程度であれば、指定非該当
・性描写は多いが、局部アップ等の図柄は少なく、卑猥度は抑えてあるので、指定非該当
・絵が卑猥な感じを与えておらず、指定非該当
・性交場面の比率もそれほど高くなく、性器部分は十分修整されている。リアルな絵でもなく、ストーリー性もあり、指定非該当
・男性器の処理が数箇所甘いところがあるが、漫画にテンポがあり、卑猥感はあまりない。指定非該当
・全体の内容はコミカルに描かれている。ストーリー的に教師と生徒の絡みがあるなど、気になるところもあるが、タッチが軽いため、卑猥感が薄められている。指定非該当
・セックス描写はあるが、修整もされており、コミカルなタッチに描かれている。卑猥感がなく、この程度であれば許容範囲だと思う。指定非該当
・絵もかわいく、ストーリー性もある。性描写はあるが、修整もされている。許容範囲であり、指定非該当
・修整されており、卑猥感もない。指定非該当


規制やむなし 4
保留 1
指定非該当 10


さて、これについては、どういう内容なのか画像を調べてはいないのですが、それよりも面白いものがあったので、上記を踏まえてみてください。 作者さんのブログです。


作者さん自らが、マーク有り用に描いたのが大半だったと書かれているわけです。
つまりですね、作者さんは成人マークありで出版されるのを想定して描いたものを、出版社が全年齢向けでだしたと。(この時点で、明らかに何か間違ってますが・・・)
そして、その結果東京都で不健全図書に指定されたって話で当然といえば当然なわけですが。
ですが、ちょっと上の自主規制団体への聞き取りの結果をもう1度見てください。


おかしくないですか??
修正は全年齢向けに対応させるために変更してはいるでしょうが、内容的には、18禁を想定しているでしょうし、それを問題ないとする方が数が多いというのは、どういうことなのでしょうか?


自主規制団体が意見を求められた時に、規制をさけるためのコメントを出しているようにしか見えません。
東京都としては、この自主規制団体への聞き取りで、問題がないという意見ばかりになれば、指定して欲しいとおもって、審議会に提出することができないわけです。
そしてそれは、どういうルールによって判断しているかわからない自主規制団体の基準によって左右されているわけです。


現状では、かなりストレートにエロを描いたものでないと、通らないということになっている状態なのです。
最初の例ですら、自主規制団体への聞き取りでは、ギリギリなわけですから、あれよりちょっと軽い表現のものが多く載ったものだと規制できないということも起こるわけです。
まして、今までは男性向けのエロを審査することが多く、その表現が基準になっていますが、今回は TL, BL という女性向けを規制したいという目論見があるため、 今までの男性向けの表現での卑猥さとはまた別のルールが必要になるわけです。
さて、そんなに違うものか?という疑問については、サンプルを。
これはまあ、ネタ的なものではあるんですが、それでも同じ内容であってもこういう違いは出てくるというのは実際にあることだと思ってよいかと思います。


どちらも同じ内容ではあっても、同じ基準で取り締まるというのは、難しいところがあるのがわかるはずです。
今までは左側を取り締まることが多かったために、ある程度の基準が出来上がってしまっているため、左側を規制するための条文を必要としたとそういうことです。


そして、自主規制団体の恣意的な回答を考えた場合、条件に合致するのであれば、あとは量的なもので規制するという包括指定に近い運用を目指すというのは正しいと方法だと思います。
実際に、量的なもので規制することは、他道府県で導入されている包括指定でのやり方に近いものであります。


以上から条文の追加という選択は、必要なことたと言えます。



TLの内容については、ネット上で見られるものですが、元は紙ベースってことで、どういうものかはこちらから適当にサンプルを見てください。BLもジャンルを選んでみてください。


しかし、出版業界の自主規制って一体なんなのでしょうね?


それから、ここで例に出した陸乃家鴨さんの件から調べると、私にはこういう風に見えます。


青少年健全育成条例 全年齢向けエロは表現の自由なんですか?


自主規制団体への意見聴取の結果について追加です。


青少年健全育成条例 業界自主規制団体への意見聴取結果


これからも、サンプルがあるものについては、追加していこうかと思います。