青少年健全育成条例 日弁連の会長声明

日弁連の会長声明というのが、それほど権威があるというなら、高校無償化に朝鮮学校を含めるのも正しいという主張を認める方々なのでしょうから、話は合わないとは思いますが。
それはそれ、これはこれで、日弁連の主張の全てが正しくないというなら、この東京都の条例に対する声明も、私からすれば、受け入れられない方に属する1つだということです。


まあ、それはそれとして、内容を確認すると、論点は、3つに絞られます。


・ 「不当に賛美」や「誇張する」などの定義は曖昧不明確で、表現の自由を侵害するおそれがある。
・ 児童ポルノに該当しない図書類について、「扇情的な姿態」などという当該図書類の定義は曖昧不明確、都知事の指導・監督等は家庭教育への介入
  また、このような図書類については、児童虐待であり、現在でも児童相談所が指導・助言できるので、都条例で追加する必要はない。
・ インターネットのフィルタリングサービスを利用しない場合に書面の提出をさせるのは、家庭への介入であり、少年インターネット環境整備法を逸脱している疑いがある。


ということなのですが、条例の改正案が提出されたのが、2010/11/22で、反対声明が出されたのが、2010/12/03になります。
法律を専門とする弁護士らしい、文言に拘った反対声明になっていると思います。


さて、「不当に賛美」や「誇張する」などの定義が曖昧だということですが 2010/12/22 付けで東京都青少年の健全な育成に関する条例施行規則が公布されています。
この条例は条例単独では機能せず、施行規則があって機能するようになっています。
「不当に賛美」や「誇張する」と書かれた条文についても、施行規則内で更に詳しい文言で規定がされました。


しかし、不思議なことに、弁護士会からはこれについて一切声明が出ていません。もう一月以上になりますが反応はありません。
文言が追加され、先の反対声明を出した時とは状況が変わったわけですが、条例施行規則の文言が曖昧であるという声明が出されていないわけです。
前にだしてあるから、曖昧なままなので改めて出さないというのは、文言を絞って曖昧だとしていることから、文言が追加された状態では無理があります。
実際に、どういう文言が追加されたかは、こちらから確認してください。


PJニュースですら取り上げたというのに、日弁連が新たに反応を見せないのは何故なのでしょうか。


普通に考えれば、条例施行規則の文言で、曖昧さは払拭されたからとなると思います。


そうでないなら、日弁連からすれば、取り敢えず会長声明を出したけれど、継続して取り組む必要のある案件ではないということになるかと思います。その程度でしかないのです。声明の内容自体、疑いがあるという反応であり、運用次第だから慎重にという程度の意味だと考えていいのではないでしょうか。重要な案件なら、もっと声明がでなければ変ですよね。


ちなみに、日弁連だけではなく、出版業界の自主規制団体である出倫協も条例施行規則について一切反応をしていません


フィルタリングサービスについては、申し出がない限りフィルタリングされるというのは、この条例で定められたものではありません。
日弁連の会長声明を見ればわかるとおり、利用しない場合に、書面を提出することが義務付けられるだけです。
ちなみに、兵庫県では、同様のことが実施済みです。(この際には、特に反対声明を出してはいないようです)
フィルタリングそのものは、青少年インターネット環境整備法という国の法律に基づいており、東京都が天下り云々ということはありません。
書面1枚提出することが家庭への介入になるというのは、あまりにも無理があると思います。


最後に、日弁連の出した会長声明を見ればわかりますが、条例の改正のプロセスや改正にあたりデータを提示していないことなどは、法律の専門家は問題とはしていないようですが、日弁連の声明を大きく取り上げる場合、その点も考慮したほうがいいと思います。


2011/02/26 追加


これに関連する日記を追加しました。


青少年健全育成条例 フライデーの記事に対する山口弁護士のコメント

青少年健全育成条例 私が支持する理由

まあ、賛成派の極めて恣意的な意見です。


東京都が出した回答集より。


5 「非実在青少年」は生きている青少年ではないのに、なぜ規制する必要があるのですか?


それは、この条例は、漫画などに出てくる「非実在青少年」を守ることが目的なのではなく、それを見たり読んだりする、実在の(生きている)子供の、健全な成長が妨げられるのを防ぐことが目的だからです。
これまでも、子供が読んだり見たりした場合に、性的な刺激を強く受けるような漫画などについては、その子供の健全な成長が妨げられるのを防ぐため、条例により子供に売らない、見せないための取組(いわゆる「18禁図書(※)」として「成人コーナー」に置くこと)を行ってきました。
今回の改正は、漫画などのうち、18歳未満のキャラクターに対する強姦(レイプ)や近親相姦(親子や兄弟姉妹間のセックス)など、実社会では社会的に許されない悪質な性行為について、読者の性的好奇心を満たすため、あたかも楽しいこと、社会的に許されることであるかのように描くような漫画などは、性的判断能力が未熟である子供が読んだり見たりした場合に「このようなことをしてもいいんだ」「このようなことをしてみたい」などの誤った認識をしてしまうおそれがあるため、子供への販売を行わない対象に追加するものです。
(※)「18禁図書」:18歳未満である青少年に対し、閲覧・販売が適当でない旨の表示(「成年コミック」など)を行っている図書類。


15 現実の子供の性交経験率は高くなっているのに、子供の性行為を描いた漫画やアニメを子供から遠ざけても意味がないのではないですか?


規制の対象は、いわゆる「エロ漫画」のうち、子供への強姦や近親相姦などの悪質な性行為を、あたかも楽しいこと、普通のこととして描写しているようなものなど、子供に対する悪質な性行為のシーンを「売り」にしたものに限られます。
通常の子供が経験する性交と、このような悪質な性行為は、明らかに別物であり、性的判断能力が未熟である子供がこのような漫画などを読むことで、悪質な性行為への「誘い」に対する子供自身の抵抗感が薄れるおそれがあり、また、そのような性交を普通のこととして、真似て実践してしまうおそれもあります。
このような漫画などを子供に見せたくないというのは、親として、ごく自然の感情であり、このような漫画などを子供に見せないのは、未熟な子供を守る大人としての責務であると考えています。


まあ、こんな風に書かれていますが、実際には強姦の他に児童買春やら淫行も含まれるわけですね。
というか、たぶん児童買春は狙ってると思いますが、児ポ法との絡みで、余計な騒ぎを起こすのを避けて明言してない気がします。


TL誌には、読者の体験談募集というのがあって、それを元に漫画を描いているというのがあったりするわけです。
内容が本当に体験談なのかは微妙なところだろうなぁと思ういます。そして、そういうものを読んでも、創作だとわかるから区別できるし、実際にしたりしないという意見もあります。


確かに、一面それは正しい意見だと思うのですが、その判断が出来るのは、そんなことは実際にはないという経験をしているから出来る判断だとも思うのです。


ただ、読者の年齢が下がって、社会経験が少なくなればなるほど、実際に経験していないことに対して、本当か嘘かの判断が甘くなっていくものだと思います。
性的な経験がない時に、好きな相手とならセックスするのが当然とばかりに描かれたマンガを読んだ時に、全員が嘘だと思うでしょうか?
また、それが体験談と銘打っていた場合、そんなことあるはずがないではなく、そんなことあるのかな?という形で受け止めた場合、性的なことへのハードルは下がるのではないでしょうか。
それに、そういう体験談を募集の文の中に、学校の先生との禁断の関係なんて文句を書いているものすらあったりしますし。
実際に捕まっている教師もいるわけですから、隠れてしているケースはあるんだという理解をする可能性もあるのではないですかね。


そして、そういうものの影響(それだけが要因とはいいません)で性的な経験を早い年齢で済ませる、その中の一部は、更に回数を重ねていき、性的なことに対する抵抗感がかなり薄れていき、そして、売春をするというのは無理がありすぎますかね?
児童ポルノについても、体を売るような子の中から、撮影を許す子が現れるというのは自然な話です。


そういう意味で、禁止されている児童ポルノの作成を、さらにし難くするための対策の一つであるのではなかと思います。
実際に、昨年の夏ごろに、携帯サイトでのメールのやり取りに関して、年齢での制限が厳しくなっており、未成年との出会い系的な使い方を排除する動きもあったことから、そういうところと連動した部分があるのでは?と思っています。
また、携帯のフィルタリングについても、これらを意識した文言が取り入れられていることが確認出来ます。


かなり偏見に基づいた意見だし、そんなことはないと言うのであれば、そうですねとしか言えませんが、個人的には、これでも規制するべきだと思うに十分足ると思います。


性犯罪がというアプローチではなく、児童買春と児童ポルノへ繋がるルートを潰すという考えにおいて、私は今回の都が行った条例の改正を支持します。


これに関しては、完全に個人的な価値観に沿ったものであり、犯罪率のデータとかを出されても、だから?としか返す気はありません。
また、子供に性的なものを見せることが害悪じゃないと言うなら、その意見を以て、世に問いかければいいだけです。
実際に、それが支持されると思っているから言っているのでしょうし、頑張ってくださいとしか言えません。
私には、到底それが受け入れられるとは思いませんけれどね。実際に、都議会で可決されたのは、そういうことだと思います。

青少年健全育成条例 全年齢向けエロは表現の自由なんですか?

まあ、規制賛成派的な立ち位置から見たら、こういう風に見えたという妄言です。


前提条件として、ピンク・ペッパーの作者さんのブログを見てください。
作者さん自らが、マーク有り用に描いたのが大半だったと書いているのです。それを何故か出版社は、全年齢向けに出版してるんです。そして、東京都に不健全図書に指定された。
これを理解してから読んでください。


さて、ピンク・ペッパーという大半が成人マーク有りを想定して描かれたマンガを全年齢で出版した実業之日本社が出版した本の中で不健全図書に指定されたものの一覧です。


実業之日本社不健全指定図書
2009 マンサンコミックス ツンな彼女がデレるま
2009 マンサンコミックス くいこみプレイ
2009 マンサンコミックス ピンク・ペッパー〜陸乃家鴨短編集〜
2008 マンサンコミックス ぷち☆うぃっち
2008 マンサンコミックス とらぶるえっち
2007 マンサンコミックス 天使の缶詰


ふと疑問に思うのは、これらの作者に対して、出版社は何かしら保証をしたのか?という話なのです。


不健全図書指定された場合、出版社から見れば、何冊か出した中の1冊にしかすぎませんが、作者から見れば、大事な1冊ですよね。


出版社としては、他の本が不健全図書にならず、一般の棚で売られることで、区分販売されるよりも多く売れれば、全部を18禁で出版するよりも儲けがあるのではないでしょうか。
(ここは反対派が18禁になると売上が激減すると言っているのですから、その論法を使わせてもらいます。)
その中から、犠牲になった本の作者に何かしらの保証をしているのか?が気になるのです。
保証をしていないとすれば、それこそ出版社は漫画家を使い捨てにしている状態なのですが、こういうのはマンガが大事だと叫ぶ反対派の人の目にはどう映るのでしょう?


また、金銭的保証をしたとしても、本の重版はされなくなるようですが、それが、反対派が言う表現の自由の結果ということになりますが、それでいいのですか?


18禁で出しておけば良いものを無理に全年齢で出した末路がそれです。


それは、行政の責任なんですか?? 違いますよね。18禁で出すとお金にならないから全年齢で出した出版社の責任ですよね。


そもそも、本来18禁で出せば良いものを全年齢でだして、何冊か不健全図書指定されても、他が一般で売れればいい的なスタンスでやっているのであれば、物凄く阿漕な商売をしていると思うのですが。これを表現の自由と言うのですか?


いや、そんなことはない、ちゃんと規制しているといくら反対派が言おうが、規制に引っかからなければ何をしてもいいという態度は、こういう所にも現れるわけです。


http://www.dmm.com/digital/book/-/list/=/article=maker/id=40273/media=comic/


東京都では不健全図書に指定されたけれど、ネットには規制がないから売ってしまえ。
反対派の言う、自主規制って、その程度なんですかね?
他で駄目だと言われても、こちらではダメだと言われないので問題ない。
そういう風にしか見えませんが、いったいどこの子供ですか。
出版社は、表現の自由に守られているから、直接罰則がいかないのであって、責任がないというわけじゃないのです。


自主規制がきちんと出来ているというなら、そのルールと、どういう形でそれが実施されているかきちんと提示してください。単なる出来ているという言葉など、全く意味はありません。
誰の目にも明らかになる資料の提示が出来ないのであれば、そんな言い訳は、世間では通用しないのです。


追記


ここをはてなブックマークに登録してる人がいるようですが、他の日記からの続きなのです。
ここだけ取り出しても、一体何をしたいのだかとしか思えません。


プロフィールに書いてある通り「青少年健全育成条例 Q&A」から読んで欲しいわけです。

青少年健全育成条例 自主規制団体の発言

出版側の自主規制団体である出倫協の構成団体、日本雑誌協会で編集倫理委員長であり、また小学館の取締役である方の発言です。


http://www.daimokuroku.com/?index=intsai&date=20101215


――しかるべき第三者委員会にゆだねられるので大丈夫だ、という意見もあります。


山 現行の条例でも「不健全図書」を判断、審議するという第三者委員会があります。ところが、これらの委員会の決定は多数決ではないのです。ひとりでも「クロだ」と判断すれば「クロ」です。まったくマンガが理解できない人が委員になってしまうと、全部「クロ」にされてしまう危険性もあります。


ただ、条例を確認する限り、第24条において、開催には、委員の半数以上、可決には半数以上、同数の場合には、会長が決めるとなっています。


さて、これが本当であれば、直ちにこれを訴え出ることで、規制なんてないものに出来ると思うのですが、不思議なことにそういう気配はありません。
現在の審議会の委員にも出倫協の議長という肩書きの方がいらっしゃいますが、何故か問題にはしていないようです。
なぜなんでしょうね?


まあ、こんな議事録もあります。
東京都青少年健全育成審議会第565回の議事録を見てください。
PDFに振られたページの番号で14 - 23 までが、不健全図書の指定についてのやりとりになるのですが。
22ページの会長の発言を以下に引用します。


○ 会長 言いかけたので申し上げますと、保留が7、非該当は4と自分の記録ではあります。
     今、事務局から説明がございましたように、結論から言いますと、指定するかしないかと
     いうような判断をここで出すという形になりますので、議論の過程は、事務局も当然ご承
     知でございますので、そういう意味では、この11名という方が、指定というはっきりし
     たご意見ではございませんので、そういう意味では、3番については非該当という結論に
     なろうかと思います。


この議事録には、多数決で指定されずに済んでいるという事実が残っています。
さて、どちらが正しいのでしょう?


ちなみに、この方は、ニコニコの記者会見で、しどろもどろに業界は自主規制している、月に、2,3冊しか不健全図書に指定されていないとおっしゃった方です。
まあ、小学館の行う自主規制の素晴らしさは、小中学生をメインの読者にもつ少女漫画である少女コミック有害図書指定を食らったことで証明済みだと思います。

青少年健全育成条例 18禁ロリマンガはどう使われた?

18禁ロリマンガはどう使われた? 東京都青少年課が行った情報隠蔽工作とは
http://www.cyzo.com/2011/01/post_6390.html


東京都が説明会に持って行った本に18禁や指定済みのものを持っていったということで、騒いでいるのがいるようですが、なんか的外れでびっくりです。


「18禁や指定済のモノの名前を隠さないで、指定されていないものは隠している。」


指定されていないモノについて名前を公表しないのは、名前を出すと、その本は問題があるけれど、今は指定出来ないよという宣言になるわけです。
これって、出版社からしたらあまり嬉しくないことだと思うのですけれど、そういう考え方はしないのでしょうか。

風評被害ってのがありますよね。評判を気にして、本屋が店頭に並べなくなる可能性はあるのではないですか?
萎縮が萎縮がと騒ぐ時には、そういう手法で表現の自由がおかされていると騒いでいるのに、名前を隠しているものを公表しろというのは、そういう危険性を孕んでいるという考えには至らないのでしょうか。


また、指定済や18禁の本で説得することに問題があるというのは、誰にでもわかる話です。
ところが、そういう本を持っていったことは認めているのは何故でしょう?
それこそ、恣意的な運用をする悪の組織であるなら、そちらこそ黒塗りにして公表しなければいいわけです。


なんで都合の悪いであろう部分を隠さないんでしょうね?
本当に都合の悪いことを隠蔽したいのなら、黒塗りと公表したものが逆になるのではないかと思います。


私には、こういう情報が出てくること自体、非常にフェアに行っているという証拠に見えるのですが。
必死で叩いている人は、頭に血が上りすぎてませんか?


それから、PTAへの説明会は、かなりの回数が行われているわけですが、そこで条例の説明をし、こういう取り締まりきれない本があるという説明をしつつ
既に区分販売されているものは対象外で、18禁となっているものは、その対象外だという事実を隠し通し、その上で聞いた人が納得する説明をするというのは、ものすごい能力だと思います。
累計では結構な人数が聞いているのに、誰もその点に気付かないし、騒ぎもしなかったわけですが、そんな事は可能なのでしょうか?
本当にできるなら、都の職員なんてやめて、営業職に転職すべきだと思います。


18禁を見せ、こういうものは18禁としてきちんと区分販売されているのですが、実際にはこういう本があり、不健全図書に指定して区分するようには努めています。
ただ、今まで条文の規制では、黒塗りで名前を出せない本は規制出来ません。なので、こういう本を規制するために、条例の改正が必要なのです。


という説明をする方が、余程楽ですし、説得力があると思うのですがね。


2011/01/22 加筆


この記事から読み取れる確実なことは、PTA への説明に18禁の本が1冊、不健全図書に指定された本が1冊。それと現状問題がない本を持って、説明が行われたということと、東京都には指定されていない本を公開しないというルールがあるということですね。
それ以外について記事に書かれている事はあくまで書いた人間の想像であり、ここに書かれている内容と重みはかわらないってことです。


それを理解出来ないと、かなり踊らされやすい状態ですから、どういう意味か理解できるようになった方がいいですよ。

2011/03/01 加筆

記事の根幹をなす1次ソース部分は以下の部分のみです。

結論から言うと、公開されたのは表示図書(最初から出版社が18禁マークをつけたもの)と指定図書(都の審議会で不健全図書指定されたもの)が一冊ずつである。表示図書は、「コミックエルオー(LO)」(2010年5月号、茜新社)、指定図書は尾崎晶氏の『人妻爆乳アナウンサー由里子さん』(10年2月、双葉社)である。そして、表示図書・指定図書以外のもの、すなわち新たな条例で都が規制したいと考えているものは、一切が非公開とされてしまった。

あとは、これらを使って説明が行われたという事実だけ。

あの記事を全部真実だとか言う時点で、かなり読解力に問題があるか、或いは、記事を見る目が偏りすぎているのです。これを理解しましょう。

青少年健全育成条例 電磁的記録媒体に記録されたプログラム

施行規則が発表された後に、以下の部分を発見して、CEROがあるから大丈夫だって言ってたけど、ゲームが規制されるという話が出て、未だにそれを信じている人がいるわけですが。


第十五条

三 電磁的記録媒体に記録されたプログラムを電子計算機等を用いて実行することにより、人に前二号に掲げる性交等に該当する行為を擬似的に体験させるものであること。


ここが問題のポイントらしいのですが、実際には、第十五条の1が存在しており、今すでに有効なわけです。


第15条
一 著しく性的感情を刺激するもの 次のいずれかに該当するものであること。
   ハ 電磁的記録媒体に記録されたプログラムを電子計算機等を用いて実行することにより、人に卑わいな行為を擬似的に体験させるものであること。
二 甚だしく残虐性を助長するもの 次のいずれかに該当するものであること。
   ハ 電磁的記録媒体に記録されたプログラムを電子計算機等を用いて実行することにより、人に残虐な行為を擬似的に体験させるものであること。
三 著しく自殺又は犯罪を誘発するもの 次のいずれかに該当するものであること
   ハ 電磁的記録媒体に記録されたプログラムを電子計算機等を用いて実行することにより、人に刑罰法規に触れる行為を擬似的に体験させるものであること。


CEROが出来る前から規制をしていたのですから、当然取り締まる条文が存在してるわけです。


さて、それにしても、実写については、自主規制団体を信じて条文から省いたのに、何故こちらは条文の改正をしたのかということが気になるわけですが、これは騒いでいる人たちの言うゲームとはちょっと違う点から、この施行規則を見た方がいいのでは?と思います。


第28期東京都青少年問題協議会


http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/09_28ki_menu.html


これの第7回専門部会の議事録P24-25 に掛けて書かれていることに注目してほしいのです。


ネット上で見られるものについても、問題があるという認識がされていることです。
実際の規制をするには、ハードルがあるという点もしっかり認識されているので、今すぐに規制をするというわけではないでしょうが、ハードルをクリア出来れば、条例に引っかかるものは規制したいという考えがあるのは読み取れると思います。


そして、その場合、当然条例の条文が必要になりますが、その場合に、電磁気的に記録媒体に記録されたプログラムをという条文を使って取り締まることになるであろうことは理解できると思います。
DL販売についての規制を視野にいれていることについては、こちらからもわかります。


http://togetter.com/li/82664


この改正をしておかないと、ネット上での規制が可能になった時に、同じ作品でも、紙ベースは規制できるけれど、ネット上のものは規制できないという事態が発生してしまう可能性が出てきます。
つまり、今すぐ規制するわけではないが、規制できるようになった時に片手落ちにならないように用意しておくという意味から、条文の改正が行われたと考えられるのではないでしょうか。

青少年健全育成条例 東京都条例改正への流れ

H18までしか資料がないので遡れないわけですが、他県では、TL のジャンルの雑誌が包括指定に引っかかっています。


(例示しているのは神奈川県しか資料を見つけられないですが、包括指定内容を比べればわかる通り、条件に大きな違いがない県では同様に引っかかることになります)
大阪府では、包括だけではなく、個別指定に引っかかりまくっていることが確認できます。


東京でも、H18 に個別指定されているものが出てきているのが確認できます。


それからも他県では、包括指定される状況が続いていくのですが、東京は個別指定のみのため、多くを規制できない状況が続きます。
大阪と神奈川の有害図書指定されたものを見てもらえればわかりますが、上級恋愛ミントとかYoung Love Comic aya 、絶対恋愛SweetというTL誌が、ずっと引っかかり続けており、一向に改善する気配がありません。


神奈川や大阪の包括指定の基準は全国的に見ても平均的なものであり、ここで出ているということは、少なくとも、半分以上の道府県で包括指定に引っかかっていることになります。


そんな中、H21/11/26 に、パブリックコメントを募集することになったわけです。


内容は下にあるので見てください。
それに対して、自主規制団体から答申書がでるわけですが、内容は言い逃れをしていると判断できる内容になっています。
これも下にあるので見てください。


そして、今年に入ってから、非実在青少年の騒動になって、12月の可決という流れになっています。


確実に狙われているサインが出ているのに、全く対応していないことが神奈川の包括指定から全然外れないことでわかります。
また、大阪では、個別指定をされています。


第28期東京都青少年問題協議会答申素案及び
都民意見の募集について
平成21年11月26日


http://www.metro.tokyo.jp/INET/BOSHU/2009/11/22jbq200.htm


この中に答申素案の主なポイントとして、以下のような記述があります。


"児童・生徒の性行為を描写した、小・中学生を対象とする「ラブ・コミック」を、レーティング(推奨年齢の表示)の対象とすべきである。"


ラブコミっておそらく TL の本だと思われます。


このパブリックコメントの募集にたいして、社団法人 日本書籍出版協会と社団法人 日本雑誌協会が共同で出そうとした答申案がみられます。


http://www.jbpa.or.jp/documents/index.html#free
第28期東京都青少年問題協議会答申素案
「メディア社会が拡がる中での青少年の健全育成について」への意見を参照してください。


以下に問題箇所を抜粋します。


「ジュニアアイドル誌」または「ラブ・コミック」と記述しているが、出版界においてはそれらのジャン ルは存在せず、都においても定義がなく、どのような雑誌を指しているのか不明であり、レーティ ングの対象とするのは問題である。なお、出版界においては自主的な取り組みとして、「表示図 書類」とは別に出版社の判断で「青少年に販売しない」措置(雑誌の小口への2箇所シール止 め)等を行い、書店、CVS等における青少年の閲覧防止および区分販売に数年前から取組ん でいる。


これは、本気で取り組もうとは思っていないと思います。
実際に、この時点では、松文館が発行しているガールズポップコレクションという TL のアンソロジーコミックが大暴走をしたあとであり、何が問題となっているのかは業界側は十分に理解しているはずです。
このような流れから非実在青少年が話題になった条例の改正の騒ぎへと繋がっていきます。


この時点で、業界が手を打つチャンスはあったのですが、これ以降も特に規制をする様子は感じられません。

東京都から意見交換会を開いたら吊るし上げだということで、意見交換できる場から逃げ出しています

まあ、吊るし上げだと仰った方は、一緒にこんな発言をされていますけれどね。